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大学院生量子力学量子場理論


第二量子化


第二量子化は、量子力学や量子場理論において、物理学者が同一の粒子を含む系を体系的に研究するための強力な枠組みです。第一量子化では粒子を別個の存在として扱いますが、第二量子化では場を基本的な存在として扱い、粒子はこれらの場の励起として見なされます。

なぜ第二量子化か?

金属中の電子集団のような多粒子系を考えてみましょう。第一量子化を用いてこの系を記述することは、各粒子の波動関数を扱う必要があるため、面倒になることがあります。また、これらの粒子は区別できないため、交換しても観測可能な違いが生じないはずであり、これを交換対称性と呼びます。この現象は第二量子化の形式では容易に管理できます。

量子化の基本的なこと

第二量子化は量子場に場演算子を結びつけることから始まります。この場演算子は、空間の各点で粒子を生成・消滅させます。通常の記法は次の通りです:

ψ(x)

ここで、ψ(x)は点xで粒子を生成または消滅させる場演算子です。第一量子化において波動関数φ(x)がある場合、第二量子化では真空状態を作用させ、粒子がない状態を表します:

ψ(x)|0⟩ = |x⟩

生成と消滅演算子

生成演算子 (a†) と消滅演算子 (a) は、この枠組みでの操作の基礎を形成します。これらは量子状態に適用され、粒子を追加または削除します:

a†|n⟩ = √(n+1) |n+1⟩

これは、状態|n⟩から生成演算子a†を適用するとn+1の粒子を持つ状態に変換されることを示しています。

a|n⟩ = √n |n-1⟩

これは、状態|n⟩に適用するとn-1の粒子を持つ状態に変換されることを示しています。

交換関係

ボース粒子(ボース=アインシュタイン統計に従う粒子)の場合、生成と消滅演算子は以下の交換関係を満たします:

[a_i, a_j†] = δ_ij
[a_i, a_j] = 0
[a_i†, a_j†] = 0

ここで、δ_ijはクロネッカーのデルタ関数で、i = jのとき1、それ以外では0です。


フェルミ粒子(フェルミ=ディラック統計に従う粒子)の場合、これらの演算子は以下の反交換関係を満たします:

{a_i, a_j†} = δ_ij
{a_i, a_j} = 0
{a_i†, a_j†} = 0

粒子状態の視覚的表現

次の単純なアプローチを考えてみましょう:

|3⟩

この図は2つの粒子を持つ量子状態を示しています。生成演算子を適用してさらに粒子を追加すると、次のように変化します:

|4⟩

第二量子化におけるハミルトニアン

量子力学において、ハミルトニアンは系の総エネルギーを表します。第二量子化においては、生成と消滅演算子の形式で表現されます。例えば、自由粒子グリッドでは次のようになります:

H = Σ_k ε_k a_k† a_k

ここで、ε_kk状態における粒子のエネルギーを表します。第一量子化の直接的なハミルトニアンよりも一般的で、さまざまな相互作用やプロセスを記述することができます。

第二量子化の応用

多体系

第二量子化は、多体系を扱う上で大いに簡単になります。例えば、凝縮物理学では超伝導や超流動のような集合現象の自然な記述を提供します。

量子場理論 (QFT)

量子場理論では、粒子を場の励起として扱い、粒子と場の統一的な取り扱いを可能にします。これは量子力学と特殊相対論の統一への道を開きます。

素粒子物理学と量子電磁力学 (QED)

第二量子化は、量子電磁力学 (QED) 及び素粒子物理学の標準モデルの基礎を形成し、現代物理学を理解する上で不可欠です。

例:ボース系とフェルミ系

ボース系の単純なモデルとして、振動エネルギーの量子であるフォノンをハミルトニアンで次のようにモデル化します:

H = Σ_k ħω_k (a_k† a_k + 1/2)

ここで、振動場の各量子はボース粒子としてħω_kのエネルギーで扱われます。対照的に、電子のようなフェルミ粒子の場合、パウリの排他原理が考慮されます:

H = Σ_k ε_k (b_k† b_k)

フェルミ系では各状態が占有されているか否かがパウリ排他原理を反映しています。

結論

第二量子化は、多数の粒子を含む量子系を扱うための体系的かつ優雅な枠組みを提供します。個々の粒子ではなく、場とその励起に焦点を当てることで、物理理論はより単純で自然になることがよくあります。凝縮系、素粒子、または先進的な量子場理論を扱うにせよ、第二量子化は現代物理学において不可欠なツールです。


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